各診療科のご紹介
高齢者脳機能治療室
科の概要・特色
研究業績
高齢者脳機能治療室(以下、高脳室)は『認知症』の診療科です。現在、当科には神経内科医1名と精神科医2名の常勤医がおり、協力して診療に当たっています。当科は『認知症』の診療科ですので、統合失調症やうつ病などの精神科の病気やアルコール依存症の診療はしていません。
『認知症』はこれまで痴呆症と呼ばれてきた病気です。しかし、痴呆という表現に蔑視的な意味が含まれ、何も分からず、何もできないとの誤解を招きやすく、早期診断の妨げにもなるという理由から、厚生労働省はこの呼び名に変更しました。『認知症』は、脳の障害により、いったん正常に発達した記憶、言語、思考力、判断力などの知的機能(『認知機能』と呼ぶ)が低下する病気です。認知症では、それまでしていた仕事や家事ができなくなり、さらに重くなれば、食事、着衣、排泄、入浴などにも促しや手助けが必要になります。また、意欲が低下し、精神症状や行動異常も現われます。
『認知症』の原因はさまざまです。アルツハイマー病は、脳の神経細胞が徐々に減っていく『認知症』(変性認知症と呼ぶ)です。わが国では、アルツハイマー病の頻度が最も高く、次いで多いのが脳血管障害を原因として起こる血管性認知症です。両者を合わせると『認知症』全体の約80%を占めます。また、脳炎や梅毒などの感染症、脳腫瘍、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫などの脳外科の病気、甲状腺機能低下症などの全身性の病気、ビタミンB1、B12欠乏症などの栄養障害、あるいはアルコールや薬によっても『認知症』が起こります。
わが国の『認知症』高齢者は現在150〜200万人といわれ、近い将来には約300万人まで増加すると推定されています。また、播磨地域においても相当数の方がおられ、今後増加していくものと思われます。しかし、『認知症』に対する理解と認識はいまだ十分とはいえません。高齢者に物忘れや問題行動が起こると、「年だから仕方がない」、「恥ずかしいから病院に行きたくない」と放置してしまうことがよくあります。『認知症』もまた、早期発見が必要な病気です。早期に治療することにより、治すことができたり症状の進行を遅らせることができるものがあります。また、介護について早期に考えていくことが非常に大切です。
高脳室の外来にはいろいろな『認知症』の患者さんが来られています。自分で病状や経過について説明できないことが多いため、原則として御家族と一緒に診察を行っています。初診日の診察には特に時間をかけています。『もの忘れ』を訴えて来られる方が最も多く、これが生理的な老化によるのか、『認知症』の始まりかどうかを区別します。『認知症』の原因となる病気を診断するために、頭部MRIや脳血流シンチなどの画像検査、脳波などの生理検査、血液検査を行います。最も多いアルツハイマー病はまだ根本的な治療法がありませんが、症状の進行を一時的に抑えることができるアリセプトという薬を使うことができます。 血管性認知症では高血圧や動脈硬化などの危険因子に対して予防的治療を行います。慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、甲状腺機能低下症、ビタミン欠乏症による認知症では、脳外科的治療や甲状腺ホルモン・ビタミンの補充治療を早期に行うことにより回復が期待できます。また、御家族に『認知症』をよく理解していただき、介護体制を構築することが大切です。患者様と御家族の生活の質 (QOL)を維持するために、デイケアやデイサービスなどの社会資源を活用できるよう、早期に介護保険を申請していただいています。
高脳室では、『認知症』の早期発見に努め、『治療ができる認知症』を見逃さないようにしています。さらに、看護師とも連携して、『認知症』において患者様と御家族のニーズに応え地域社会に貢献できるよう努力しています。なお、高脳室初診外来は平成18年11月より完全予約制になっています。