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病院の活動紹介

高度専門医療への取り組み

弁膜症治療の最前線

1. 弁膜症治療の現状

これまで長い間、弁膜症治療といえば外科的開心術か内科的薬物療法の2択しかなく、高齢などを理由に開心術が困難な症例では薬物療法を続けるしか選択肢がありませんでした。しかし、ここ数年の飛躍的なデバイス革新により、新たな選択肢(MitraClipおよびTAVI)が生まれました。

2. MitraClipについて

MitraClipは僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対するカテーテルを用いた治療で、2003年にヨーロッパで始まり、欧米を中心に6万人以上の治療実績があります。日本でも2018年4月から施行が可能となり、当院も兵庫県内初の認定施設として8月から治療を開始しました。経静脈的にデバイスを右心房から左心房、左心房から左心室へと移動させ、2枚(前尖と後尖)からなる僧帽弁を文字とおりクリップで挟み込み、弁の可動性を減少させるという治療法で、従来の外科的edge to edgeという手術方法を応用した形の治療になります。これによって僧帽弁の逆流量が減少し、大動脈への血流量が増加するため、心不全の改善が期待されています。
外科的僧帽弁治療との違いとして、
① 経静脈的アプローチであるため低侵襲であること、
② 人工心肺装置が不要で、心拍動下にリアルタイムに治療が可能なこと、
③ クリップの位置を変更することで何度でも術中にやり直しが効くこと、
④ 手技のほとんどを経食道エコー下に行うため、造影剤を必要としないこと、が挙げられます。僧帽弁自体の逸脱や変性などが原因である器質的なMRに対しては、外科的開心術が有効であることは言うまでもありません。その一方で、低左心機能や心拡大などが原因で起こる二次性の機能性MRへの外科手術の成績は前者には及ばず、このMitraClipはまさにそういった患者さんが対象と考えられています。全国的にもまだ始まったばかりの治療法ですが、他の実施施設とも連携しながら、少しでも多くの患者さんに治療が提供できるよう日々研鑽を積んでいきたいと思っています。

3. TAVIについて

2014年後半から当院で治療を開始した大動脈弁狭窄症(AS)に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)は、年々手術件数が増加し、当院は兵庫県内TOPクラスの実施施設となっています。平均年齢約85歳で最高齢95歳と非常にhigh riskな患者さんが対象の手術になりますが、院内死亡率は約3%で、自宅退院率は90%を超えています。退院後の90日生存率は100%で、1年生存率も80%を超える成績を残しています。中でもASが原因で血行破綻を来たした超重症心不全(NYHA Ⅳ度)に対して行われた準緊急手術11例のうち、7例(63.6%)が独歩で自宅退院可能となっています。従来の外科的開胸術に比べて、より低侵襲、低リスクの治療方法であることが裏付けられた結果だと思われます。デバイスの選択肢も増え、従来型のバルーン拡張型弁に加え自己拡張型弁も使用できるようになり、患者様の解剖学的形態や全身状態に合わせて留置する弁も選択できるようになりました。
現在、TAVIの治療件数は、全世界的にも飛躍的に増加傾向にあり、ドイツでは数年前に外科的大動脈弁置換術の件数を逆転したと報告されています。大規模臨床試験でも外科的手術と同等、もしくはそれを上回る結果が続々と発表されてきています。現在は手術リスクが高い患者さんが対象となっていますが、今後はより低リスクの患者様にも対象が拡大していく可能性が高く、当院でも柔軟に対応していきたいと考えています。

今回ご紹介したMitraClip、TAVI、いずれの治療法もほんの5年前、10年前には日本には存在しなかった治療方法で、今後も新たな治療方法が次々と出てくることが期待されています。当院は日本有数の心不全入院患者数を誇る循環器センターで、日々たくさんの心不全患者さんの治療にあたっています。MitraClip、TAVI、いずれもこれまでは内服加療のみでしか治療できなかった患者さんへの新たな治療戦略になりつつあり、従来の外科的手術に加え内科的手術も選択肢として広がることでより、各患者さんに応じたオーダーメイド治療を提供できるようになると思います。

IMPELLA(インペラ)補助循環用ポンプカテーテル治療について

難治性心不全、心原性ショックの治療として、補助循環装置として従来の大動脈バルーンパンピング法(IABP)、経皮的心肺補助装置(PCPS)に加えて、小型のポンプをカテーテルで左心室の中に入れ、左心室から脱血し、大動脈内へ送血することで、強力な循環補助を可能とする新しい補助装置であるIMPELLA(インペラ)が本邦においても2017年9月から導入され、当院でも2018年10月より使用開始しています。

インペラには2.5 (最大補助流量2.5L/分), CP (最大補助流量 3.7/分), 5.0 (最大補助流量5.0L/分)の3種類があり、2.5, CPは内科的に大動脈穿刺で挿入可能であり、汎用性が高く、心原性ショックを呈する患者さんの救命率の向上を目的として使用しています (2020年3月までの使用実績: 32名(平均年齢69歳, IMPELLA 2.5:15例, CP:11例, 5.0:6例)

補助人工心臓および心臓移植について

当院で取り扱っている
植込み型左室補助人工心臓(LVAD)

さらに難治性の心不全を呈する場合に若年者(一般的には65歳以下)であれば、心臓移植の対象となることがあります。当院は心臓移植実施施設である大阪大学ならびに国立循環器病研究センターと連携しており、対象となる場合には早期に紹介対応しています。
既に3名は心臓移植を終え、2017年5月より植込型補助人工心臓管理施設の認定(全国9施設)を受け、2020年3月時点で6名(平均年齢50歳)の補助人工心臓の植込み中の心臓移植待機患者を併診しています。

心不全診療は日進月歩であり、多くの治療機器が導入されている一方で高齢化と共に末期医療の提供を要する場合も増えています。病態に合わせた集学的医療の提供に努めたいと考えております。

なぜ「運動負荷心エコー図検査」が必要なのか?

当科では心臓に関連すると思われる症状をもつ患者さんを主に診療しています.受診される患者さんの中には,「階段や坂道での息切れ」や「平地歩行でも息切れ」などの症状を持つ方がいます.我々の専門用語で「労作時息切れ」といわれるこのような症状を診断するのは,実は簡単ではありません.その理由の第一に,息切れは心臓だけが原因と限らず,肺や足が悪くても生じる症状であること.第二に,通常外来診療でスクリーニングとして行われる検査は心電図にしても心エコー図検査にしてもじっとしている(安静時)時にしか調べていないので,運動時に起こる症状の原因を診ることができないことが原因でした。
そこで当院ではそのような患者さんに、「運動負荷心エコー図検査」を導入しました.運動負荷心エコー図検査とは、エルゴメーターというベッドサイドに設置された自転車をこいでいただく負荷検査です(写真)。運動で心臓に負担をかけることによって、安静時には認められない心臓の筋肉の動き、血液の流れ方の変化について超音波を用いて調べる検査です。心臓弁膜症、心筋症、虚血性心疾患、肺高血圧症などの様々な循環器疾患が対象となります。
本検査を施行した患者さんの多くで,安静時とは違う心臓の状態が観察されます.我々はこのような変化を見た上で,お薬による治療が良いのか,手術による治療が良いのか検討することができます。また,当院ではさまざまな心臓弁膜症の治療を行っていますが,治療の効果判定にもこの検査が役立っています。術前と比較して術後にしっかりと運動できれば,狙い通り治療ができたことが確認できるというわけです。

写真の脚注:写真のように患者さんがエルゴメーターを漕いでいる時に超音波で心臓の状態を確認します。なお,実際の検査では室内を暗くして行っています。

画像診断部門の試みについて

当院は循環器専門病院として、非侵襲的画像検査:心エコー図検査、心臓CT、心筋血流シンチ(SPECT)、心臓MRIをフル活用して診療しています。機能評価としてアクセスが容易な心エコー図検査は年間12.000件を超えています。とくに構造的心疾患については経食道エコーは必須で、3D再構成を併用して、MitraClipやTAVIの術前術後の評価を行っています。当院の心筋SPECT検査は年間1900件を超え、従来より西日本で1-2を競う検査件数です。2015年に心臓に特化した半導体ガンマカメラ(D-SPECT)を導入し、画質、診断精度の向上とともに検査時間短縮や被爆低減のみならず、検査当日に結果説明が可能となり、検査から診断、治療のスループットが向上しています。
心臓MRIは年間400例近くを行っており、心臓の形態や機能のみならず昨今parallel imagingの進歩から、組織評価にも貢献しています。特に炎症所見の検出や遅延像(LGE)が明瞭でないびまん性線維化の検出ではT2mappingやT1mappingが有用です。さらに心房細動へのカテーテルアブレーション前後での心房の形態評価を心臓MRIで行っており、被曝や造影剤のリスクを低減できるほか、アブレーション後の効果の予測についても現在研究しています。冠動脈MRIのプラーク評価では脆弱な不安定プラークの描出と病理組織の対比を行い、マクロファージや炎症細胞浸潤と信号値の関係を報告しています。
心臓CTは年間800件をこえており、冠動脈疾患の診断のみならず、カテーテル治療時のデバイス選択やストラテジーの決定に用いているほか、慢性完全閉塞病変の治療に際しても、治療の道しるべとしてとても重要な役割を果たしています。構造的心疾患についても、大動脈走行や弁輪の高さ、冠動脈との距離などの評価に、きわめて重要な診断治療の手段です。

概要と特色

  • 初診の方へ 受付時間 9:00-11:30
  • 再診の方へ 事前にご予約が必要です
  • 外来診療担当表
診療時間
初診 9:00-11:30
再診 予約制
079-293-3131
休診日 土・日曜日、祝日、
12月29日から1月3日
TEl 079-293-3131

診療科ごとの休診日は外来診療担当表をご覧ください。

外来診療担当表
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